2014年上半期ベスト

 早いもので、今年の上半期が終わってしまった。
 というわけで、上半期の小説のベストをランキング形式で挙げたいと思う。

1 江波光則『樹木葬 〜死者の代弁者〜
樹木葬 -死者の代弁者- (ガガガ文庫)
 葬シリーズ完結編。
 ライトノベルで、青春の終焉をはっきりと描いてしまったことに鳥肌が立った。
 スカンクシリーズのような外連味もグロもないものの、「死」を巡るストーリーは鬼気迫るものがあり、かつもの凄く爽やかに終わった。
 江波なのに! あの江波光則なのに! 
2 古野まほろ新訳 天帝の愛でたまう孤島
天帝の愛でたまう孤島 (幻冬舎文庫)
 古野まほろのキャラノベ・天帝シリーズの一つの区切りとなる長編。今回も川上並みの分厚さだ!
 ガンダムAGEネタを挟みながら、貸し切りの離島でバカンスする(水着シーンもちゃんとあるよ!)ラノベ的前半から一転、「探偵する」という行為そのものを断罪するような痛切な後半への転換がおそろしい。
 大ボリュームでありながら、1ページたりとも目を離せなかった。
3 武内涼『鬼狩りの梓馬
鬼狩りの梓馬 (角川ホラー文庫)
 鬼VS鬼VSゲス武士! 熱血少年漫画的時代小説!角川ホラー……文庫……?
 時代小説だからという理由で敬遠することなかれ。
 鬼の力を有した少年が、幾つもの犠牲と憎悪を超えて、大切な人々や村を守るため凶悪な鬼や野武士に戦いを挑むのが超熱い。
 3巻構成の『戦都の陰陽師』に比べると(今のところ)単巻だが、むしろ1巻に熱さが凝縮されていてよい。
4 綾崎隼青と無色のサクリファイス
青と無色のサクリファイス (メディアワークス文庫)
 上下巻構成の下巻。よって、上巻の『赤と灰色のサクリファイス』を読んでからでないとまったく面白くない。
 綺麗に騙された感がすごい。
 島!館!毒物!読者への挑戦状!とあからさまなミステリ要素をぶちこんでおきながら、予想だにしなかった着地点に辿り着いた驚き。
 強引なまでのハッピーエンドが多い綾崎作品の中で、漫然としないエンドだったのも良かったです。
5 永菜葉一『ゴールドラッシュ・オブ・ザ・デッド
ゴールドラッシュ・オブ・ザ・デッド (富士見ファンタジア文庫)
 忍者VSゾンビVSガンマンVS自由の女神VS艦隊!
 堅実であまり冒険しないイメージが強い富士見書房、ご乱心の一冊。
 西部開拓時代を舞台に金塊を巡って忍者とゾンビとガンマンが争いあう、という荒唐無稽すぎる展開とテンションの高すぎる文体が目を引くが、後半に大どんでん返しがあったり実は時間SFだったりと侮れない。
6 地本草子『路地裏テアトロ
路地裏テアトロ (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)
 新興レーベルぽにきゃんBOOKSから刊行された、ラノベなのかそうでないのかよく分からない一作。
 古ぼけた映画館を舞台に、親子三代の想いが繋がっていくあたたかなストーリーに、純粋に「いいなあ」と思った。
 こういう迷い鳥的作品を読めるのは、新興レーベルが立ち上がったときだけの楽しみだ。
汀こるものただし少女はレベル99
ただし少女はレベル99 (講談社ノベルス)
 こるものの(恐らく)非ミステリなファンタジー。今年流行のあやかし短編連作集だぞおらおら。
 一見ゆるキャラ妖怪ほっこりもののように思えるのだが、どれもこれもロクな結果を迎えず、暗い。
 特に最後の短編で『リライト』や『紫色のクオリア』を彷彿とさせるSFに変貌していくのは圧巻。
 これのために買ったみたいなものである。
8 紅玉いづき青春離婚
青春離婚 (星海社FICTIONS)
 『ガーデン・ロスト』路線の紅玉いづきの現代もの作品。
 各作品が微妙にリンクしている短編連作の形式をとっている。
 未成年のもどかしい恋愛……よりもネット技術やアプリ関連、そしてそれを使っているデジタルネイティブな高校生の描写が目にとまる。
 特に『非公式恋愛』はSNSを利用したミステリとしても楽しめた。
9 らきるち『絶深海のソラリス
絶深海のソラリス (MF文庫J)
 MFアペンドライン。
 今年流行の教官系主人公ハーレムラノベだぞおらおら。
 問題児だらけの美少女能力者たちを主人公が育てて一人前に……かと思いきや、実はそれが偽装だった。
 ありがちなラノベかと思わせておいてからの、後半の容赦ない殺戮描写と絶望的展開はお見事。
10 ブラッドレーボンド&フィリップ・N・モーゼズ『ニンジャスレイヤー ピストルカラテ決死拳
ニンジャスレイヤー ピストルカラテ決死拳 (キョート殺伐都市 # 5)
 アニメ化が決定してますます勢いに乗るニンジャスレイヤー。
 神回「リヴート、レイブン」+「シージ・トゥ・ザ・スリーピング・ビューティー」のフルリメイク版という超豪華仕様。
 フジキド、ガンドーといったメインキャラはもちろん、非ニンジャのサブキャラにスポットライトが当たった巻だった。
 特にシージに出てくる、ニンジャと電子戦で渡り合うハッカーのシバカリはカッコよすぎる。

好きラノ投票コード
【14上期ラノベ投票/9784865290387】
【14上期ラノベ投票/9784061388949】
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【14上期ラノベ投票/9784062990091】
【14上期ラノベ投票/9784047293628】